Kyashカードは利用時のポイント還元があるプリペイドカードです。
昨今の改悪続きにより、再度日の目を浴びているKyashでしたが、2024年3月21日から主要の使用先であるANA PayやIDAREへのチャージ利用を対象外とする改悪が入りました。
この記事では、
これらについて解説していきます。
Kyashについて
Kyashは2017年4月から提供開始された送金・決済アプリのことで、株式会社Kyashが運営しています。
2018年6月からリアルカードの発行を開始し、当時のポイント還元率は2.0%でしたが、その後1.0%、0.2%と下がっています。
プリペイドカードの中でも古参の位置付けで、持っている人も多い印象を個人的には持っています。
基本性能
Kyashカードは3種類のカードタイプが存在します。
カード | Virtual&Lite | ノーマル |
---|---|---|
年会費 | 無料 | |
発行 手数料 | 無料 | 900円 |
カード ブランド | Visa | |
ポイント 還元率 | Kyashマネー 0.5% 上限600P/月 | Kyashマネー 1.0% 上限1,000P/月 |
Kyashバリュー 0.2%(500円毎に1P) 上限100P/月(=5万円/月) | ||
還元 ポイント | Kyashポイント ※1ポイント=1円 | |
決済方法 | ・磁気カード ※Liteのみ ・Apple Pay ・Google Pay ・オンライン | ・ICチップ ・Visaタッチ ・Apple Pay ・Google Pay ・オンライン |
決済上限 | 10万円/回 15万円/月 | 30万円/回 100万円/月 |
残高上限 | Kyashマネー 100万円 Kyashバリュー 1,000万円 | |
チャージ 方法 | ・クレジットカード ・銀行口座 ・コンビニATM ・イマすぐ入金 | |
チャージ 上限 | 10万円/回 | 30万円/回 |
カード 有効期限 | 5年間 |
年会費・発行手数料
Kyashサービス利用に年会費はかかりません。
Kyashはアプリに存在するバーチャルカードである『Kyash Card Virtual』、リアルカードである『Kyash Card Lite』と『Kyash Card』(以下、ノーマルと呼称)の3種類のカードが存在します。
VirtualとLiteは無料で作成可能ですが、ノーマルは900円の発行手数料がかかります。
手数料が必要な分、他のカードよりも性能は高くなっていますが、900円以上の価値があるかどうかは使用用途によって変わってきます。
ノーマルだからといって、還元率が大きくなる等の直接的なメリットはありません。
ポイント還元率
Kyashは利用時の金額に応じてポイント還元がされる数少ない貴重なプリペイドカードです。
還元されるポイントKyashポイントで、1ポイント=1円として残高にチャージして利用するものになっています。
ポイントの還元率は、チャージしたお金の種類によって異なり、2種類存在します。
Kyashマネー | Kyashバリュー | |
---|---|---|
ポイント 還元率 | 0.5%〜1.0% | 0.2% |
ポイント 付与上限 | 600〜1,200P/月 | 100P/月 |
チャージ 方法 | ・銀行口座 ・コンビニATM | ・クレジットカード ・Kyashポイント ・イマすぐ入金 |
Kyashマネーはいわゆる現金から直接チャージしたお金になります。
Kyashバリューはクレジットカードから直接チャージしたお金になります。
Kyashの活用意図は、あくまでクレジットカードの実質還元率を高めることなので、使用機会が多いのはKyashバリューになります。
Kyashバリューの還元率はカードの種類によって変わらず同じであり、還元率0.2%、月100Pまでしか付与されません。
注意点としては、500円毎に1P付与となるため、効率を求める場合には500円単位での利用を利用をおすすめします。
決済方法
バーチャルカードの場合、Apple PayやGoogle Payに対応しているため、実店舗でも決済することができます。
Liteは磁気カード、ノーマルはICチップ付きカードとなります。
どうしても実店舗でカード決済をしたいという方は、ICチップ付きのノーマルカードが必要になります。
決済・残高上限
カード種類の違いが最も大きく影響してくる性能がカード決済上限です。
カード | Virtual&Lite | ノーマル |
---|---|---|
決済上限 | 10万円/回 15万円/月 | 30万円/回 100万円/月 |
残高上限 | Kyashマネー 100万円 Kyashバリュー 1,000万円 |
無料で作成できるVirtualとLiteの決済上限は、1回10万円、月15万円までとなっています。
一方、ノーマルは1回30万円、月100万円なので、使用できる範囲が拡がります。
ただし、ポイント還元率、付与上限はどのカードも一緒なので、わざわざ発行手数料を払ってノーマルを使用する価値は無いと個人的には思います。
チャージ方法
基本的にはクレジットカードからチャージすることになると思います。
チャージできるブランドは、Visa / Mastercard / JCB / Amexになります。
現金としては、銀行口座やコンビニATMからチャージすることが可能です。
イマすぐ入金というあと払い制のチャージ方法がありますが、手数料が500円以上かかります。
特別な理由がない限り、使用することはやめましょう。
チャージ不可・ポイント還元対象外となる利用先
Kyashカードには、ポイント還元対象外となる利用先が存在します。
さらに、2024年3月21日以降、チャージ不可となる利用先が追加されました。
また、Kyashへのチャージがポイント対象外となるクレジットカードがいくつかあります。
利用不可の利用先
2024年3月21日以降、下記の利用先における決済(チャージ)はできなくなります。
還元対象外の利用先
モバイルSuicaへのチャージ利用は、ポイント還元の対象外となります。
モバイルSuicaとして記述されているので、他の交通系ICへのチャージ利用は還元対象である可能性がああります。
使用する場合には、事前に低額チャージ(500円以上)して還元されるか確認することをおすすめします。
還元対象外やチャージ不可といった改悪は急に入ることがあるので、最新情報はチェックするようにしましょう。
Kyashチャージが還元対象外のクレカ
以下のクレジットカードは、公式で対象外とアナウンスされているものです。
アナウンスされずに還元対象外の場合もあるので、利用時には確認するようにしましょう。
また、Amexのプロパーカード(ポイントがメンバーシップ・プログラム)はポイント還元率が半減します。
Kyash活用方法
Kyashカードは、チャージ不可等の様々な改悪によって、現状では通常利用で0.2%還元される以外に使い道がありません。
還元率0.2%も月100円が還元上限であるため、わざわざ使う価値もないでしょう。
Kyashカードの選び方
3種類あるKyashカードの選び方をここでは解説します。
VirtualとLiteの違い
この2つの違いは、リアルカードかそうではないかのみです。
Liteであればカード決済ができるようになりますが、磁気カードであるため、使用できない可能性やスキミング等のセキュリティ上のリスクが上がります。
カード性能に違いは無いため、磁気カード決済として使用する目処が無いのであれば、即時発行できるVirtualをおすすめします。
ノーマルの必要性
ランクとしては最上位カードであるKyash Cardは、他の2つよりもカード性能は高いですが、発行手数料900円が必要です。
先ほども述べましたが、カードランクによるポイント還元率の違いは無いため、900円以上のメリットがあるかどうかは使用用途によって判断することになります。
ノーマルカードの優位性は以下になります。
前述したように、Kyashは『色々なプリペイドカードへチャージが可能』というメリットがあります。
つまり、Kyashを最終決済用のカードとして使うことはほとんど無く、他のプリペイドカードへチャージして利用した方が効率的ということです。
ICチップ付きのリアルカードがあるプリペイドカードは以下になります。
B/43 | IDARE | MIXI M | |
---|---|---|---|
発行 手数料 | 500円 ※初回のみ | 900円 | 1,000円 |
決済上限 | 100万円 /日, 月 | 100万円 /回, 月 | 50万円 /回, 月 |
ポイント 還元率 | 無し |
この中では発行手数料が安価で、決済上限も大きいB/43のリアルカードがおすすめです。
au PAYプリペイドカードやIDAREからのチャージも可能であるため、お金の集結先としては優れています。
Kyashにこだわりがなければ、リアルカードを作る必要は無いでしょう。
B/43、IDARE、MIXI Mについてはこちらで解説しています。
また、各プリペイドカードの性能や活用方法をまとめたこちらの記事も参考にしてください。
Kyashの補償
不正利用
Kyashの不正利用時の補償については利用規約のKyashマネーは第31条、Kyashバリューは第27条に明記されています。
利用規約 一部抜粋 ※マネーとバリューは同じ文言
5. 当社の補償の内容は以下のとおりとなります。
(1) 当社は、利用者が第三者に不正利用された金額から、当社以外の第三者から回収できた金額または補償を受けられた金額を差し引いた金額を補償します。
IDAREの不正利用時の補償と同じ文章が記述されています。
詳細は不明ですが、必ずしも全額補償されるとは限らないということは言えるでしょう。
不正利用を防止するために、カードロック機能やオンライン決済ロック機能が備わっています。
必ず、使用しない時はロックしておくようにしましょう。
会社の破産
前払式支払手段であるプリペイドカードは、資金決済法に基づき、残高の半額以上の額を発行保証金として法務局等に供託等を行うことが義務付けられています。
Kyashバリューに関しても次のように明記されています。
資金決済法に基づく表示 (前払式支払手段)
供託金
資金決済法第14条1項
当社は資金決済に関する法律に基づき、毎年3月31日および9月30日における Kyashバリュー未使用残高の半額以上の額を発行保証金として法務局等に供託等を行うことで、Kyashバリュー保有者の資産保全を行っています。なお、当社は供託金を東京法務局(供託所)に預けております。
資金決済法第31条1項
万が一の場合、Kyashバリュー保有者は、資金決済に関する法律第31条の規定に基づき、上記に従
ってあらかじめ保全された発行保証金について、他の債権者に先立ち弁済を受けることができます。
すなわち、Kyashが使用不可となった場合の残高補償は最低でも半額ということになります。
一方、Kyashバリューは全額返還できるような契約を三井住友銀行と締結しているようです。
可能性は低いかもしれませんが、あまり残高にお金を入れすぎないようにしましょう。